『meet,again』一穂ミチ [ライトノベル]
大学生協のアルバイトで働く嵐は不思議な雰囲気を纏う学生・栫を気にかける。どこか他者と一線を置いている彼に徐々に惹かれていくが、ある日嵐は誰にも知られたくない過去を栫に暴かれてしまう。
※BL。
『サクラダリセット6 BOY,GIRL and--』河野裕 [ライトノベル]
サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
- 作者: 河野 裕
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/11/30
- メディア: 文庫
「能力者」が存在する街、咲良田。けれど一人の男の計画により、その姿は変えられる。ケイに三つのお願いをする相麻、自身の感情に戸惑う春埼。今ある日常をなくしたくないケイは行動を起こすが…。
シリーズ第6弾。いよいよクライマックスとのことで、空白の「始まりの一年間」が明かされ、能力を敵視する浦地が行動を起こし、ケイたちは決断を迫られる。私は3巻が「すべてのはじまり」と見ていたけど、本当は、もっとずっと前から物語は始まっていたんだな。7巻で「終わり」から、どう逆転するんだろう…?
今回、相麻がケイにしたこと―その真相、本当の想いが乗せられた言葉を聞いてすごく、苦しかった。多分、3巻は「終わりを止めようとする者のはじまり」なのかなぁ。最初にケイと春埼のほのぼので甘酸っぱいやり取りに穏やかな気持になっていただけに、彼女の犠牲ととれる言動が本当に辛かった。けど、それも受け止めて行かなきゃならないんだな、主人公。改めて、今回の表紙と、そしてタイトルを見返すと何とも言えない感情に占められる。
さんざん、純粋で綺麗な物語だなと言ってきたけれど、段々キャラの感情が浮き彫りになってきたり醜さも晒していって見方が少しずつ変わっていった。誰かを想う純真さはブレなくて、それがとても眩しいくらいに揺るがなくて、なのに彼らは不器用で。妬ましくて、それでも愛しいなと思える。根っこの部分で憎めない人たちばかりなんだよ。
『零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係』西尾維新 [ライトノベル]
零崎人識は度々殺しの現場に居合わせた人と成立しているのか分からない戯言な会話を繰り返す。戯言シリーズ『クビシメロマンチスト』の頃、京都連続殺人事件の裏側のもうひとつの物語。
人間シリーズ最終作。のうち1冊。 時系列順に読むことにしたので、本作は双識に続く3冊目です。 副題からして「戯言遣い」の掛け合いが見られるのか!と思いきや二人の会話は章の合間くらいしかなく、むしろ本編には「戯言遣い」の登場さえなかったという。双識の時も思ったけれど、予想を裏切る展開だなぁ! <無関係>の<継続>のまま終ー了ーしたのは、少し残念だけどこれが二人の<関係>らしいなと納得してしまう。
で、今回は戯言シリーズ2巻当たりの頃の人識を、犯行を及んでる最中の人識と偶然居合わせてしまった不幸な人との会話がメイン。相対する人が意表をつく顔合わせばかりだった。 人識って結構社交的な性格なのか?と殺されなかった人たちとの戯れな会話を読みつつ、そう考えるのも変だよなぁと思いつつ。
『断章のグリム15 ラプンツェル・下』甲田学人 [ライトノベル]
勇治の襲撃を受けた蒼衣は一時戦線離脱し、再び雪乃は一人で<泡渦>と対峙することに。『ラプンツェル』の配役は誰を指しているのか。病院を襲った<泡渦>の毒は街全体に回り始め…。
シリーズ第15巻。今までさんざん蒼衣に悪態ついてきた雪乃が、いなくなったことで改めて彼の存在感を意識したり、最後の二人のやり取りが、本シリーズでは信じられないくらいの甘さでびっくりした。お姉さんにおちょくられる妹の図、普通だった可愛いと思うところを、この姉はひどいタイミングでひっかけるから。。
反して、物語は誰もが救われないエンドを予想させる最悪をきわめていて。たのみのあの人も、シリーズ当初から狂っていたんだなと思うと…。蒼衣の前に再び現れた「彼女」の存在。鹿狩屋に訪れた「最後の一人」。色々気になるところで次巻のサブタイトルが「白雪姫」。そろそろクライマックスが近付いているのかも。
『メグとセロンⅥ 第四上級学校な日』時雨沢恵一 [ライトノベル]
メグ・セロン・ラリーの3人が部長からオリエンテーリングでの優勝を命じられる話と、短期留学で訪れた少女から見た新聞部のあれこれの2編。
シリーズ第6弾。最初のオリエンテーリング、メグセロ側はセロンの意外な弱点を見つけたり、最後の挿絵の部分でニヤニヤが止まらなかったりで相変わらず。一方部長ジェニー・ナタリア・ニックは、ジェニーの苦い過去で少ししんみりしたり。そんなことがあったから、ジェニーは最後あんな強引な行動取ったのかなと。半分以上は好奇心とおせっかいがあるど思うけどw いやぁ、ラストの電話越しの会話が気になって仕方ないです。次はセロンとメグに進展が…あるのかな、楽しみ!
ラプトアから短期留学生が新聞部に訪れる話は、良い学生生活送ってるなぁと和む。今回は二つとの事件に巻き込まれてーのドタバタ劇ではなかった分、学園の中で青春してて、個人的にこういうの大好きです。『大陸の王 四界物語3』黒川裕子 [ライトノベル]
金翅の女王竜ファティオータは皇帝の手中に捕われ、リンゼイ・ヴォーは反乱軍の指揮者として仕立て上げられる。そして四界の海中へと溺れていったシルッカは…。四界を巡る海上ファンタジー最終巻。
壮大な四界の物語が綺麗に終結して清々しい気持ちで読み終わりました。寂しい気持ちは消せないけど、前向きなラストで良かったと思います。悲しいとは、言ってはいけないよね…。
シルッカや皇子は、本当にたくましくなったなぁ。ラストのシルッカの行動(挿絵の部分)が、1巻ではありえないくらいに(笑)強くなったんだなとしみじみ思いました。主役二人と一匹の描写は多いですが脇を固めるキャラクターたちも魅力的な一冊。ちょい役のおっさん騎士たちですら良いキャラしてた。あとは、ヒロインとも言えるファティオータが小生意気で愛らしい竜でしたね。
1巻序盤、波頭馬を操り海上を駆ける姿に惹き込まれ、あっという間に3冊読んでしまいました。 色々と気になるところがあるので補完本1冊出してほしいです。
以下ネタバレ感想。
『異玉の騎士 四界物語2』黒川裕子 [ライトノベル]
異玉の騎士―四界物語〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 黒川 裕子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
第四世界から帰還し、ネルヴァーリ指揮する海賊の元へ身を寄せるシルッカたち。竜騎士として戦いを求められ戸惑うシルッカ、謀略によって国を追われた皇子、そして時折憂いの表情を見せる大食い女王。激変する周囲の状況に彼らは―。
海上ファンタジー第2巻。シルッカたちの成長ときな臭い気配、それに新しい勢力のお目見え巻といった感じ。あまり動きがなかったかな。それにしても皇子の成長ぶりがめざましい。1巻で見えた狂気がすっかり削げてしまって、様々なものと葛藤しつつも我を忘れず前を進む姿に惚れる。彼のオファン、心を決めきれないシルッカにいらついてもいたけど、彼なりの成長も見えてやっと動くか!と楽しみにしてたら終わった。 早く3巻読まなきゃ。シルッカと皇子、ティーの三角関係は前巻よりも面白いことになってる(笑)
また次々と魅力的なキャラクタを投入してくるなぁ。南国の香り漂わせる虎の王とか、その周囲の人たちとか。ネルヴァーリ船長の旧友とか。こちらはネル師とも深い縁があるようなので、次辺り描いてくれるかしら…というかネル師大丈夫…?
不穏な動きを見せる帝国側。それを指揮する王と、彼の側にいる不気味な女人。帝国・サクォーリアン・竜の三つ巴の戦いは始まった。最終巻でティーたちはどんな行動を起こすのか、何が待っているのか楽しみです。『金翅のファティオータ 四界物語1』黒川裕子 [ライトノベル]
金翅のファティオータ―四界物語〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 黒川 裕子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/07
- メディア: 新書
波頭馬騎士のシルッカはトゲウオ退治の際トゲウオの幼生を拾う。このことで、冷酷非道な皇子と共に四界を揺るがす運命に巻き込まれていく…。第6回C★NOVELS大賞受賞作。
壮大な海上ファンタジーでした。世界観と描写に圧倒。そして波止馬を操り海を駆け抜ける描写に痺れた。主人公が、ある事がきっかけで四界を揺るがす陰謀に巻き込まれ歴史の本当の姿を見ざるを得ない状況に追いやられていく展開も、王道で大好きです。
残酷きわまりない皇子リンゼイ・ヴォーと、混血児ゆえ気苦労絶えないシルッカ、そして女王気質のワガママトゲウオ(幼生)のトリオが好き。世界の渦の中心となった彼らはどんな運命を拓くのか、楽しみ。 あまりにも好みの一作で震えがくる。最近良作にめぐり逢えて嬉しいです。
『断章のグリム14 ラプンツェル・上』甲田学人 [ライトノベル]
仕事仲間だった<葬儀屋>を自らの断章の暴走により消し去ってしまった蒼衣。彼の喪失は周囲に波紋を呼び、蒼衣への風当たりは強くなる。失敗を挽回するため、精神的に追い詰めながらも次の任務を果たそうとするが―。
シリーズ第14巻。それにしても今回は精神面への打撃が凄かった。いつも視覚的に痛々しいシリーズですが、今回は精神的にグサグサ刺さります。 常にボーダーラインに立ち続けると思っていた蒼衣がよりによって葬儀屋を(意図的にではなくとも)殺してしまった事実に、最初は受け入れられませんでした。ああ、ついに境界線を越えてしまうのかと…このまま堕ちてしまうのかと思いましたが…まさかの雪乃の行動に、びっくり。夢見子だけでなく、蒼衣は雪乃にも変化をもたらしていたんだな。
起こったことは変えられないけれど前を向いて頑張ってほしいです。
…って気持ちが浮上しかけた途端、最後の彼の登場。引きが最悪です。うわぁぁぁ…。
『七姫物語 第6章 ひとつの理想』高野和 [ライトノベル]
地方都市は「五都同盟」として手を組み、一宮・二宮の巨大連合軍に抗おうとする。目まぐるしく変化する情勢の中、七人の末姫・空澄は…。東和七姫の物語、知りたがりの少女の物語の最終章。
シリーズ最終巻。本当に待ち遠しくて仕方なかったシリーズだったので、続きを読める幸せを噛みしめてます。欲を言えば、もう少しだけ東和の物語を広く深く見たい思いもありますがひとまずの完結巻、読めて良かったです。
最終巻とだけあり色んな人に焦点が当たっていて面白かったです。どの勢力も巻を増すごとに魅力的に映えてきたので、もっとこの人たちのアレコレ読みたい気になりました。特に、巨大勢力・一宮を纏め上げている宮姫・黒耀の話を見てみたいなぁ。カラと違って、結構生臭い話になりそうだけど。
さて、東和の騒乱がどう収束するのか気がかりでしたが…後書きでも書かれていたように七姫らしいラストだったなぁと。落ち着いた気分で読めるのは世界を俯瞰するように読んでいたからかもしれない。カラが割と第3者的な立場で物事を見ていたからかな。最後の対面は、ようやく…としみじみと思いました。
カラと共に見つめてきた東和の世界。本当に大好きです。東和七姫の物語は一旦閉幕ですが、とても素敵な物語を読めて嬉しかったです。新作も、気長に待ちたいと思います!
以下、それぞれの宮について思うこと。