『香水 ある人殺しの物語』パトリックジュースキント [読書]
十八世紀フランス。特異な嗅覚の才を受けた香水の魔術師が、至上の香りを求めて次々と殺人を犯していき…。
匂い立つ文章に目眩がしそう。文字を読んでいるのに、同時に匂いを嗅いだような錯覚にも陥って、酔う・・・。
至高の匂いを求めて一心不乱に切り拓いていく男の一生が、その手段が不気味かつ鮮烈で、目が離せなかった。明らかに倫理に反した生き方を読んでいるのに、ブラックユーモアな雰囲気で面白く読んでしまう。 理解できない視点で進む物語は薄気味悪さが終始纏わりついているものの、でも気になって読み進めてしまいました。。
読み終えたあと自分の感情になかなか整理がつけられず。最初から奇天烈な物語も、香りを嗅いでる不可解さも、極めつけのラストが凄まじいのにサラッと描かれたことにも、読み終えてから色々と衝撃が遅れて来ているのかもしれないな。たぶん。
文字を読んでいるはずなのに、匂いを感じ取ってしまう、そんな錯覚をせずにはいられない気味の悪さ(料理ではない、普段意図せず嗅いでいる匂いを感じ取ってしまう)。匂いを発している本。不思議で、不気味だからこそ印象に残る読書体験だったなー。
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