『カブキブ! 1』榎田ユウリ [読書]
歌舞伎大好きな来栖黒悟は部活で歌舞伎をやろうと立ち上がる。親友のトンボの協力のもと部員メンバー集めに奔走するが…。シリーズ第一巻。
面白かったー! 歌舞伎を立ち上げるために黒悟(クロ)が口説く候補者はクセがある面子ばかり。いっそ愚直なまでに体当たりで誘うクロの姿は、時に鬱陶しさがあるも歌舞伎への情熱が本物であることと彼の本気具合を直に触れたことで、こちらまで熱くなってきた。
クロの勧誘で徐々にメンバーが集まるなか歌舞伎役者の愛人の子と噂される阿久津や梨園の御曹司蛯原が、今後どう関わってくるのか気になるところ。阿久津には色々謎があり、カブキ部に加入するのかしないのか今巻では決着がついてないし。本物の歌舞伎の世界に身を置く蛯原から見たクロたちの行動は鼻につくものらしいけれど、彼自身クロたちとの関わりで何かが変わりそうな気配もありそうなので。
歌舞伎といえば、三浦しをんさんのエッセイで今まで硬かったイメージが大分ほぐれたけれど、さらに今回、主人公クロの演目の説明が現代に向けて訳されていて楽しそうに見えてくる。クロが勧誘したメンバーと一緒に見る演目のシーン(『菅原伝授手習鑑』の『寺子屋』)のくだりが結構面白くて、興味深かったな。あの人が涙する意味は受け手側でいくつも解釈できる自由さもあるのかだなーと。
あー部活ものって良いなぁ。人間関係や物事に打ちこむ姿が豊かに描かれていて好きです。
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