『春陽』佐島ユウヤ [少女小説]
日常の影に在る異形の気配。飯島兄弟は訪れる異形のものや「見える」人間の依頼より不可解な現象の解決に乗り出す。
著者デビュー作は、異形のものたちが佇む現代で特殊な力を持つ兄弟たちが問題解決に奔走するお話。今作もほっとするような雰囲気が好きだなぁ。「門火」「冬桜」が特に好き。
飯島兄弟の片割れ、兄の比佐は紡ぐ言葉に力が宿る<呪言者>。弟・圭一は見鬼の才はそこそこだが妖を断つ妖刀を使い兄のサポートに回る。比佐の浮世めいた存在感、どこかしら人と一線を置いてるような佇まいに理由はあるけど、さほど負の雰囲気に流されず。
つかず離れずな兄弟の仲、言葉よりもただ側に在ることこそが互いを支えているんだなと。
「拾ってきたのか?」
「いや。なんかそこにいた」
「なら、公孫樹爺さんからのお礼かな」
「木の葉が?」
「これから育つ樹の葉だぞ? 何十年かを先取りして触れるんだ。悪くない」
「まあ、そういやそうか」
※2012/1現在絶版(涙)。アマゾンのマーケットプレイスにて在庫確認。
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