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2011年マイベスト [感想まとめ]

201冊読んだ中で、特にお気に入りを10作くらい(+α)挙げてみる。
去年はちょうど300冊読んだので意識的にペースは落としたものの素晴らしい本たちに沢山出会えた年でした。ただライトノベルはほとんど新規は読まなかったなぁ。。
全体的に架空の舞台がどっしり描かれているファンタジーに出会える率が高くて嬉しかった。あと何となく苦手意識を持っていた翻訳小説のイメージが払拭されたな。


折れた竜骨 (米澤穂信/東京創元社ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)  12世紀末の欧州架空の国を舞台に魔術と推理が練り合わさった一冊。
 米澤先生は「古典部」「小市民」シリーズが特に好きな作家さんですが、今作が長編としても米澤作品の中でも飛び抜けて好きかもしれない。謎が解き明かしていく過程が面白く、また”真実”やラストまで丁寧に着地した。(⇛感想

 

 

 ・ ミストボーン 3部作 (ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT)

ミストボーン―霧の落とし子〈1〉灰色の帝国 (ハヤカワ文庫FT) ミストボーン―霧の落とし子〈2〉赤き血の太陽 (ハヤカワ文庫FT) ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT) ミストスピリット―霧のうつし身〈1〉遺されし力 (ハヤカワ文庫FT) ミストスピリット 2試されし王 (ハヤカワ文庫FT) ミストスピリット 3 (ハヤカワ文庫FT) ミストクローク ―霧の羽衣― 1 新たな救い手 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-9) ミストクローク―霧の羽衣― 2古からの声 (ハヤカワ文庫FT) ミストクローク―霧の羽衣〈3〉永遠(とわ)の大地 (ハヤカワ文庫FT)




骨太その1。3冊×3の中に壮大な物語が詰まっていた。1巻から の伏線が最終巻で綺麗に回収され痺れました。各部最終巻は必ず「雪崩」がやってきますが、3部最終巻の「大雪崩」は凄まじかった。これが、<サンダースン の雪崩>か。 ”合金術”を駆使し空中を飛び交い闘う”霧の落とし子”たちの情景が色鮮やかに脳内に映像化された。過酷な展開が幾度も主人公・ヴィンたちに襲いかかる が、それを上回る展開を彼女たちは成し遂げた。多彩なキャラクタ、興味深い宗教観、そして世界を揺るがすような展開には脱帽。ひたすら読み続けてきました が、本当に濃厚な8日間だった。 


叫びと祈り (梓崎優/東京創元社ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)    一人の青年が各国で遭遇した事件や現象を連作短編で書かれた一冊。一つひとつの短編はどれも最高に面白く、それら全ての物語の欠片が最後で綺麗に繋ぎ、完結した。それぞれ色があって独立した面白さが一冊に詰まっている。(⇛感想

 

 

 

四界物語 3部作 (黒川裕子/C★NOVELSファンタジア)

金翅のファティオータ―四界物語〈1〉 (C・NOVELSファンタジア) 異玉の騎士―四界物語〈2〉 (C・NOVELSファンタジア) 大陸の王―四界物語〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)  波頭馬騎士のシルッカはトゲウオ退治の際トゲウオの幼生を拾う。このことで、冷酷非道な皇子と共に四界を揺るがす運命に巻き込まれていく、四界を巡る海上ファンタジー。
 骨太その2。次第に明かされていく「世界」の構造、そして謎にシルッカたちが触れたとき、そしてその後の激動にちょっと鳥肌立った。また主人公シルッカと異種族(トゲウオ)の交流や皇子の成長を通じてオファン(相棒)関係を着々と築いていくのが良いな。魅力的なキャラクタ多数、中年戦友や師弟ものやり取りも素敵。(⇛1巻感想


風が強く吹いている (三浦しをん/新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)    運動にあまり縁のない男たちが「駅伝」参戦を目標に走る物語。昨年は『月魚』が好きな耽美・幻想系の物語でどっぷり浸りましたが、今作は暑苦しいほどの熱気や思いが伝わってくる、手に汗握る物語をひとつ。著者で昨年刊行のものでは、『舟を編む』も、方向は違えど抱える熱気や執念が伝わる一冊で面白かった。辞書小説。(⇛感想

 

 

森見登美彦 (『恋文の技術』『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半王国見聞録』ほか)

恋文の技術 (ポプラ文庫) 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 森見登美彦の京都ぐるぐる案内 今年は就活の年だったので鬱屈した気持ちを抱えて過ごすことが多くて。そんな中ふと手にした「恋文の技術」で一時期救われた部分が大きい。主人公が己の赴くままに斜め上まっしぐらへがむしゃらに突き進む…何か、おかしい。どこか、おバカだ。だけと愛おしいキャラクタたちがはっちゃめちゃにしているのを見て、どこか力が抜けて(良い意味で・笑)元気もらえた本でした。 多分、秋に突発的に敢行した京都・奈良旅行も影響されてる。 「夜は短し歩けよ乙女」は京都の移動途中で読んだので、より雰囲気を味わえた気分。まぁ一言でいえば、モリミー最高! 昨年刊行では『四畳半王国見聞録』が『四畳半神話体系』のパロディなんだか似てるようなそうでもないような世界での話が面白かった。けど中級向けかな。(⇛『恋文の技術』の感想


たとえ許されない恋だとしても (湊ようこ/コバルト文庫)

たとえ許されない恋だとしても (コバルト文庫)   デビュー作がとても印象深かった著者の2作目。惹かれ合う二人が再会したのは戦場で、敵同士だった-という、まさに王道。ベタ。だがそれがいい!!(笑) ヒロインやヒーローの心情が丁寧に描かれ、また背負うもの(時代や政治的な情勢)もしっかりしていて、少女小説枠では特に読み応えありました。ロマン最高。(⇛感想

 

 

 ・ 七姫物語 第六章 ひとつの理想 (高野和/電撃文庫)

七姫物語〈第6章〉ひとつの理想 (電撃文庫)  ずっと待ち望んでいたシリーズの最終巻。この物語は、洗練されたような空気を感じて、それは視点が七姫「空澄姫」(カラ)だからなのかとも思ったけれど、どんな陰謀や駆け引きを見てもやっぱりこの空気は好き。 表面上、傀儡として祀り上げられる七姫君たち。それぞれに色があり、思いが込められ、そして言葉を紡ぎ行動していく彼女たちを見ているとそんな状況だとはとても思えなかった。最後までとても楽しくて名残惜しいです。本当に。もっと彼女たちの物語を読みたいと、どんどん欲が出てきてしまう(笑) それでも、完結巻が読める幸せを噛みしめる。(⇛感想


 ・ 東亰異聞 (小野不由美/新潮文庫)

東亰異聞 (新潮文庫)    …もうダメ。こういった要素にひたすら弱い。得体のしれない黒衣と(何故か)話ができる美しい文楽人形の怪しげな会話から始まり、魑魅魍魎が跋扈する明治時代の帝都が舞台。段々と推理ものの展開に
 暗く重たく何かが蠢いているような気味の悪さを肌で感じるような世界を、私は相当好きみたい。暗いけれど惹かれずにはいられない耽美で異様な空気がたまらない。
 昨年刊行の少女小説で『妓楼には鍵の姫が住まう―死人視―』も雰囲気似通うものがあってたいへん好みです。(⇛感想

 
ジェノサイド (高野和明/角川書店)

ジェノサイド    正直に言うと好みではないかもれない。けれど、好き嫌いという判断が出来ない一冊。面白いと言ってもいいのか…でも、読んでる最中そして読み終えた時の気分は「面白い」としか言えないよなぁ。。圧倒的な何かを読んだ。一言では言えない面白さが圧縮されている。舞台は現代なのに現実離れしたハードが迫る。

 

 

※・昨年のマイベストに入れたシリーズは選外としましたが、相変わらず『シュガーアップル・フェアリーテイル』『金星特急』『サクラダリセット』には重く愛を注いでいます(笑) シュガーアップルは最新刊で”可愛らしさ”以外の何かを見た巻で、少し新鮮な印象を受けた(全体的に暗く重ためだったから?)。金星は勢いがとどまらず、むしろ加速していってる。どうなるんだ。マジで楽しみ。サクラダがこの内で一番に幕を下ろすようで、とても寂しい反面クライマックスで盛り上がった状況をどう覆すのか気になるところ。

シュガーアップル・フェアリーテイル銀砂糖師と緑の工房 (角川ビーンズ文庫) シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と紫の約束 (角川ビーンズ文庫) シュガーアップル・フェアリーテイル  銀砂糖師と赤の王国 (角川ビーンズ文庫) 金星特急 (4) (ウィングス文庫) 金星特急 5 (ウィングス文庫) サクラダリセット5  ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫) サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)  

 

 



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コメント 4

takao

ベスト記事、お疲れ様でした。
なかなか興味深く読ませていただきました。
確かに、『叫びと祈り』良かったよね、と思ったり。

とりあえず『折れた竜骨』と『ジェノサイド』は積んでいる状態なので、是非とも読んでみたいところです。
by takao (2012-01-02 01:20) 

うらり

昨年はお世話になりました。&某所でのしょうもない呟きに、ナイス頂き有難うございました。
今年も良かったら宜しくお願い申し上げます。

今年もベスト記事楽しませていただきました^^

ミストボーンシリーズは、ミナモさんのあの呟きを見て気になり、密かに調べました。
悪が勝利したらで、勝手に広がる妄想←
今は別のファンタジーシリーズを追っているので、それを読み終えたら追いかけていこうかな、と思います。雪崩と妄想が破られていくのを楽しみに(苦笑)

「たとえ許されない恋だとしても」は、気になっていて即読みリストに入れてある本です。ミナモさんの感想を読んだときに、これは楽しみだ!と思いましたが…ベスト本に入っているなんて、楽しみと期待が膨らんでいきます(笑)

森見さんの世界に登場する阿呆たちには元気をもらえますよね(昨年、森見さんの本を1冊読みましたが、阿呆が登場しなくて少し残念かな、と思ったり)
夜は短しは積んでいるので、今年のうちにでも読みたいと思います^^

もっと語りたいことがありますが、長くなるので(もう大分長くなりましたが・・・)止めておきます。
就活などでお忙しい中、201冊読めるのに尊敬致します。

でわ、ミナモさんにとっての2012年が良い年になりますように!
by うらり (2012-01-03 00:18) 

ミナモ

>takaoさん 
この長い記事に閲覧ありがとうございます。
『叫びと祈り』の著者さんはこれからも追いかけたい作家さんに入りましたね☆

『折れた竜骨』と『ジェノサイド』はどちらもオススメですよ~。
どっちも読み応えたっぷりじゃないかなぁと。
でも、ジェノサイドは気力が大丈夫な時に読むことをオススメします。
壮絶な描写にへこみそうな時がありましたので。でも、とても良かったです。
by ミナモ (2012-01-04 23:44) 

ミナモ

>うらりさん 
こんにちは~。
こちらこそ、昨年は度々コメント頂けて舞い上がっていましたw
そして、この長い記事を読んでくださってありがとうございます。

ミストボーンシリーズはとても濃厚なシリーズなので、できれば一気読みがオススメかなと。時間が取れたときにでもがっつり読んでもらえればなと思っていますw
悪が勝利するのかそれとも…雪崩の凄さ、お楽しみください!

たとえ~は、前作デビュー作の『氷雪王の求婚~』でとても好きな作風だなと思っていましたが、今回はベタに大好きな一作でした。
私が好きな王道が詰まってますので、うらりさんも気に入ればいいなぁこのベタさ加減…と投げっぱなしにしておきます(笑)

森見さんの本は、昨年は阿呆な話ばかり読んでました。上記の夜は短し~や恋文の技術は阿呆さ詰まってますので、ぜひぜひ♪
阿呆さと青春と少しキュンとする話なので、森見ワールドはまってくださいな^^

もっと語っても良かったのに(笑) 食らいつく自信があります(←そんなこと言われても)
就活の間は読書自体避けてましたが、下半期辺りからようやく読む気になったおかげかこの量になりました。。

それでは、今年もよろしくお願いいたします!
by ミナモ (2012-01-09 11:31) 

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