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横山秀夫『クライマーズ・ハイ』 [読書]

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

  • 作者: 横山 秀夫
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。 

8月12日。25年目という節目の年に、勧めてもらって取った1冊。航空機の単独事故では史上最大の犠牲者を出したあの事故を描いた物語に触れました。
馴染みのないジャンルだったので今回勧めてもらわなければ読まず終いだったかもしれない。そう思うと震えてくる。 まだ私が生まれてもないときにこのような惨事が起きていた、その事実を目の当たりにした。

現場の生々しい描写は一切ない。なのに、そこで起きている惨状がどれほど凄まじいのか伝わってくる。悠木を通して事故の全貌を見てきたが、このような大事故が起こっていたことなど今まで知らなかかった自分がすごく、恥ずかしい。 こうして「小説」という媒体に残してくれて良かった。
最初こそ馴染まないジャンルだからと最初は尻込みしていたクセに、読みはじめたら止まらなくなった。まさにクライマーズ・ハイ状態。 臨場感がリアルに迫っていて文字を追いかけずにはいられなかったです。 合間にはいる「現在」の登山も、物語が進むごとに相乗効果を生み出していって興奮した。
また悠木という一人の男性の苦悩にも注目。 組織内での軋轢―衝突と挫折を幾度となく味わいながらも、見えていなかったものを知り、友人の遺したある言葉を理解するとともに昇華されていく過程は良かった。 エピローグではこみ上げてきて思わず涙を流しました。

きっとこれから毎年この季節になると読み返したくなるだろう作品。そのときは、今回のように興奮状態ではなく、もっと落ち着いて冷静に読めるかもしれない。
本当にすごかった。

(2010/8読了)☆
いつも以上にまとまりのない感想^^; 感じたことを書き散らした結果こんなことに。


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コメント 2

takao

私みたいに、本当にNO PLANで書き散らしているものから見ると、しっかりとまとまった文章だと思いますよ。
冷静に書くのもいいですが、面白い作品は、その興奮をそのままに書いてみるのもいいと思います。
私も、この作品読んでいないので、読みたくなりました。
by takao (2010-08-12 23:28) 

ミナモ

>takaoさん 
ありがとうございます♪
今あらためて見直すと結構恥ずかしいのですが…もういいです(開き直り)。
takaoさんの文章がNO PLANですって!? ちょっとビックリです。
洗練されてて、読みやすいと思ってますよ^^

ぜひぜひ! 横山さんは初読み作家さんでしたが、とても読みやすく
面白い物語でしたっ
by ミナモ (2010-08-13 18:35) 

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