SSブログ

青木祐子『窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』 [├コバルト文庫]

窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)

窓の向こうは夏の色 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)

  • 作者: 青木 祐子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 文庫

ケイトは厳格な叔母にドレスの注文を取り消され…(「ドレッシング・ルームの高い窓」)。男爵令嬢ファニーは恋人のケネスに隠し事をしていて…(「希望という名の猫」)。仕立屋『薔薇色』をめぐる短編に、書き下ろしで寄宿学校時代のシャーロックの淡い恋を描いた「窓の向こうは夏の色」、愛人のいるヘンリー・モアティエと結婚したドロシアの物語「幸福な淑女」を加えた“恋”の短編集。

本編が鬱々とした展開続きだったので新刊を手にする前にまだ未読の短編集でも読んで心を落ち着かせようかと。
…思っていたのに、シャーロックの奇行の数々を目の当たりにしたら、新刊を読むときのテンションの落差が激しいんじゃ…と若干後悔しかけた。 可愛すぎるよ、シャーリー。
時系列だとまだ二人がくっついていない頃の話かな。 相手の言動にいろいろと考えたり悩んだりしてる二人の距離感がとても好き。

本編はじっくり主人公たちの恋中心お話を描いているから「ドレッシング・ルームの高い窓」のような、単発もののゲストキャラのロマンス+『薔薇色』の掛け合いが読めてよかった。 もちろん、シャーロックとクリスの恋のお話は大好きだしとても気になるけれど、『薔薇色』が誰かのためにドレスを作る←ちょこちょこシャーリー介入、の構図が私的にはとても好物なのです。

ケネス&ファニー嬢は結構好きなゲストカップルさんだったので、二人にスポットが当たった話が読めて良かったなぁ。 若干、暗い要素もあるけれど、その分最後が甘くて、揺るがない想いを見れてにんまり。
※ゲストキャラ中心の話の方が、時折挟まれる主人公sの掛け合いに妙に盛り上がってしまう罠。 「俺は、いないほうが~」のくだりとか、たった数行でのやり取りなのにゴロゴロ転がってしまいそう。 「指輪」の場面は挿絵もあって容易に固まってるシャーリーを想像できて爆笑。

シャーロックが、まだ寄宿学校にいた頃の話―の表題作は、色々と青いシャーリー少年を見れて にんまり。

一番印象的に残ったのは、やっぱり最後の「幸福な淑女」かな。 タイトルからして強烈。 読み終わって改めて見ると、複雑な気分になった。 モアティエ家はアップル中心に好きー。モアティエ家の騒動は本編で結構引っ張るなぁと思っていたけれど、この話でドロシアの内面を見てしまうと・・やっぱり一筋縄ではいかない家だな。 指をさして誰々が悪いと言い切れなくて、なんだかしこりが残るお話。


(2010/6読了)☆☆☆☆

拍手ボタンブログ村 読書日記
気がついたらこんな長く書いてしまったな・・・。


タグ:青木祐子
nice!(8)  コメント(2)  トラックバック(0)   

nice! 8

コメント 2

fallclover

ふふふ、ミナモさんの記事に、私も思わず笑いをかくせなかったですよ…
指輪のお話、長い間直接本で読んでいないけれど、未だに思いだせます。

新刊は、ここの所のある意味しんどい展開から、ラスト近くになってようやく解放されて、ほっと落ちつける感じになっていますよ。
この巻の、ファニーとイレーネのエピソードが、ここにきて生きてきていました。ケネスも登場してましたよ。

なんというか、シャーロックの迷いがふっきれているので、安心して格好良いヒーローとして読めました。
その分、彼の面白い思考を楽しむには、やや物足りない…かも(笑)。…あ、ラストはちょっと微笑ましい。

このシリーズと関係ありませんが、私、『黄昏色の詠使い』シリーズに、一昨日くらいから手を出し始めました。
ちょっと検索していたら、ミナモさんのブログにたどり着いたので、びっくり。
また感想読ませていただきますね♪
by fallclover (2010-06-21 21:23) 

ミナモ

>fallcloverさん 
まさか、こんなに感想書けるとは…(笑)
普段、書籍の感想はある程度文章はまとめておこうと思っていたのに、箍が外れてしまったようですよw
指輪のくだりとか、私もずいぶん印象付けられたようなので、思い返す度にフフフと笑ってしまいそうです。

新刊、いまかいまかとソワソワ待っていたのに発売されてから3週間…このコメントを見て、勇気だして本日手に入れてきましたっ。
なんというか、今まで触れてきた小説と違って、読む前がとてつもなく勇気がいるのです。。 読み出すと最後までやめられないんですが><

シャーリー、君も男になったんだね…となにやら見当違いな思いが一瞬よぎりましたが(笑)、彼の勇姿、しっかり見たいと思います。

……って、おおお、fallcloverさんからその作品の言葉が出てくるとは!
私の感想、時にはしゃぎ時に落ち込んだような一貫性のないものですけど、参考になれば嬉しいです^^
少年向けライトノベルでは異色なのかな?と思うくらい、ちょこっと少女小説よりのお話です~。
by ミナモ (2010-06-23 18:47) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました
ブログパーツ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。