五條瑛『ヨリックの饗宴』 [読書]
妻子を虐待した末、失踪した兄。その消息を追うハメになった耀二は、やがて長年にわたって隠蔽されてきた政府機密の存在に気づく。政権をゆるがすほど多くの人間の野望と復讐を織り込んだ重大な計画…兄は一体何をしようとしていたのか!?「国家」と「家族」、「愛」と「憎悪」に翻弄される兄弟の運命を描いた、傑作長編ミステリ。
久々に五條さん。 らしいなぁと思える骨太な物語でした。
血の繋がりの濃さ故の確執。 たまらん!
例外なく、五條作品には最低一人でも「カッコイイ」男性が出てきますねぇ。 7年前に失踪した和久田(主人公)の兄がそうで、最初の頃は「なんてDV男!」と嫌悪していたのに中盤に登場した途端空気が変わったといいますか。それまでの彼の残酷な行いを知っているのに、彼の存在を目の当たりにするとその嫌悪感が払拭されてしまった。 あれれ。わたしがただ単に良い男に弱いからなのか、弟の和久田の視点がそうさせたのか。 そのうちに段々兄貴の像が変わりだしていくし、その奥で今回の事件との繋がりが見えてきて目が回る。
わたしは、主人公と兄、と兄の息子のトライアングラーな関係をじーっと読み込んでいたんだけど(そうせずにはいられなかったというか)、気づけば政治面の”ある計画”も水面下で激しく展開されていて、それが突然主人公を巻き込んでから、3人以外にも目を向けるようになっていって…はぁ、面白かった。 読み終わったらどっと疲れた気が。濃厚な空気に気圧されていたよ(笑)
憎しみと愛情はとても似ているなぁ。。にしても兄と甥っ子は主人公大好きすぎるね!
独占欲…庇護欲……似たもの父子ってことかな、結局は。
読む決め手だった読メ友達の藤月はなさん、ありがとうございました♪
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