小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』 [読書]
●あらすじ●伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。
『ミーナの行進』以来の小川さんです。
文章がとても柔らかい。浸りました。
チェスを小難しい遊戯と思っていたので、頁最初のイラストといい、メインがチェスの天才の半生を描いたものといい、少し警戒してたんだけど(段々わからなくなってきてアウトかもしれないと…)。それが導入部からすっと頭の中に入り込んできたから驚いた。チェスがモノではなく人として見るとわかりやすいんだなー。
言葉とチェスが合わさってひとつの響き―詩を作り上げていく様子がとても素敵。こういうのを言葉に酔うというのかな。始終ゆらゆら漂う気分。流れのままに身を任せ、リトル・アリョーヒンの人生を見つめました。悲しくはない、嬉しい…という言葉も当てはまらない涙を流すのって、そうそうない体験だ^^;(最近本当、泣きすぎてますね。。)
決して派手とは言えない彼の人生でしたが、出逢う人…彼と対局した人はかけがえのないものを刻み付けられたんじゃないのかな。
もちろん、その対決を見ていた私にとってもとても残る物語でした。
★★★★★
タグ:小川洋子
素敵な内容の本みたいですね!私も読みたいと思いました。
by Betty (2009-02-09 22:19)
>Bettyさん
素敵、としか言えませんでした…(ああでも、途中で眠くなるくらい穏やかな気が)!!
ゼヒトモーwBettyさんの直木賞企画も参考にしてますー❤
niceありがとうございました✿
>kaz777さん
niceありがとうございました✿
by ミナモ (2009-02-10 08:58)
ミナモさん、こんばんわ^^
これ、不思議な物語でしたね~。
序盤、マスターとの時間は少年の喜びを感じられて
私も幸せでした。
途中、海底チェス倶楽部のところが辛くて・・・。
何度か寝てしまった・・・^^;
なんかね~、読み進まなかったよ~。
でも、終盤エチュードに移ってからは心穏やかになれたから
あんな結末が待ってるとは思わなかった・・・T_T
チェスは多少やったことあるけど、上手くなれば一局にあんなふうに
物語を感じられるようになるのかしらねぇ~。
「最強の一手」より「最善の一手」に心揺さぶられました。
あとは~、唇の皮膚移植を脛じゃなく臀部とかにしてたら、もっと
違う人生だったかしら・・・とか・・・^^;
by sherry (2010-02-07 22:09)
>sherryさん
こんばんは~。
小川さんの文体とこの物語の雰囲気が絶妙にマッチしているからか、とても不思議な空間に漂った気分になれましたよ。
ただ、わたしも海底チェスのところはおもしろい、とは思ったけどややこしいな、とも思ったりで。
あの雰囲気のまま最後も穏やかに終わるとおもっていたから、衝撃でした・・!
読者からはわかってしまうすれ違いに、もう泣けたー。
わたしはチェスやったことないんだよね。でもこの本読んだらやりたくなった!(と思って1年経っても未だやってませんが・苦笑)
たとえとっさのことだとはいえ、どうして脛なんだろう・・って思ってしまうよね^^; でもだからこそインパクトあったというか。
ビジュアル面では、あまりよろしくないとは思ったりしたけどっ。
by ミナモ (2010-02-08 20:19)