SSブログ

三浦しをん 『まほろ駅前多田便利軒』 [読書]

新作入手を機に3年ぶりに再読しました。

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。多田・行天の魅力全開の第135回直木賞受賞作。

 

良いなぁとしみじみ思う。 堪能、というか。
しをんさんの作品はわりと結構読んできたつもりだけど、これはその中でもベスト級に入るくらいのお気に入りです。―のくせに再読はこれが初めて、とかは置いといて。

ちょっとマセた小学生・由良や、
心は優しくしたたかに生きる女性たち・ルルとハイシー。
行天の元”妻”・凪子さんに、
十代で幅をきかせている星(清海ちゃんが出てきてから妙に可愛くなってるw)
市営バスに文句をつける<便利屋>の常連おじいさん・岡。
みんな面白くて、妙に印象に残る。

仕事で出会う人たちと触れながら、少しずつ変わっていく。
一番多田を変わらせたのは行天だろうけど、人が人と関わっていくことは苦みもあるし辛いこともあるけど無駄なことではないなと、ふと思ったり。

この物語は最後を読むと、これで完結してるんだって思ったけど、よく考えてみれば行天の過去も匂わせた程度で深く踏み込んでなかったし続編の『まほろ駅前番外地』はれっきとした続編なのかもな。

以下、ネタバレ感想。

 

「幸福は再生する」とつぶやく。涙で滲んだ、この場面。
過去の出来事から抜け出せなかった多田に最後で”希望”が芽生えたことに、彼からその言葉を引き出した行天に、感動―というの、体が震えた。すごく満足です。

 

 すべてが元通りとはいかなくても、修復することはできる。

 

(2006.11.11を改稿)


タグ:三浦しをん
nice!(13)  コメント(18)  トラックバック(3) 
共通テーマ: 

nice! 13

コメント 18

mint

さくさん、はじめまして。
コメント、ありがとうございました。
この本は、多田と行天のやりとりがおもしろかったですよね。
その2人にはちょっと切ない過去があったりして…。
続編が出ないかなぁと思っています。

また、遊びにきますね。
by mint (2006-11-12 00:32) 

香穂

mintさん、こんにちはv
遊びに来てくれてありがとうございます^^
面白いだけじゃなくて、切なさも混じっていて面白いですよね♪
私も続編希望です!
by 香穂 (2006-11-12 17:54) 

藍色

さくさん、はじめまして。
トラバありがとうございます。
個性的な行天と、振り回される多田の奇妙なコンビネーションが楽しい作品でした。
心の裏側にあった、隠された部分も切なくて、よかったですね。

記事を拝見させていただきました。
で、「楽園の魔女たち」を、お近づきにトラバさせていただきました。
まさかこの本の記事を持ってる方がいるなんて、うれしくて・・。
探しても、ますコバルトを読んでる方が見つからなかったのです。
コメントやトラバなどいただけたらうれしいです。
これからも、お気軽にどうぞ。
by 藍色 (2006-11-13 01:54) 

香穂

藍色さん、こんばんは。
コメントありがとうございますv
遊びに来てくださって嬉しいです!!
うわぁ、他の記事も見ていただけたなんて…感激です!
「楽園の魔女たち」シリーズは、記事にまとめてませんが、完読いたしました。
最初から最後まで笑い続けましたv
私も、知り合いでコバルト読者はなかなかいらっしゃらないので、ここで出会えて嬉しいですっっ!
是非トラバさせていただきます。
こちらこそ、また遊びに来てくださいねvv
by 香穂 (2006-11-13 20:51) 

板栗香

遅い訪問になってすみません(汗)
はじめまして~♪コメントありがとうございました。
これは続編が出きそうなお話ですよね~
私も装丁の絵好みでした!(笑)
by 板栗香 (2006-11-26 17:43) 

香穂

●板栗香 さん●
こんばんは、コメント残してくれてありがとうございますっっ!
いやもう是非とも続編を出してもらいたいです。
でも、これで完結でもいい気がする自分もいたりして…^^;
by 香穂 (2006-11-26 19:13) 

nanayo

こんにちは。
展開や事件はそれ程派手なわけじゃないのに、
じわっとした人情味が感じられる作品でした。
三浦さんの本を読んだのは初めてでしたが、なかなか面白かったです。
「まほろ市」は「町田市」というところががモデルっぽいということを
聞いたことがありますが、
どうなんでしょね?
by nanayo (2007-01-28 21:59) 

香穂

●nanayoさん●
こんばんは~。
私もこの作品が初めてなんです。
もう、はまりました^^
ええっそうなんですか!?
初耳でした…;妙にリアルで人情味があるのはそのモデルがあったからなのかもしれませんね^^
三浦さんの本他に読んだことないんですけど、これから探していこうかな。
コメントありがとうございました。
また遊びに来てね♪
by 香穂 (2007-01-28 22:25) 

あんこ

こんばんは。
nanayoさんが書いてらっしゃるようにモデルは町田のようです。
街の描写に実在のものを想起させる表現が出てきます。
本が出た当時住んでいたのでニヤリとしながら読みました^^

by あんこ (2008-03-05 02:55) 

ミナモ

おお、こちらにも!!nice&コメ感謝ですvようこそー。
町田…行けるかな、行ってみたいな。
うわあ、なんて幸せな!!羨ましいv
私も本が出たときそこに住んでおけば2倍面白かったハズなのに(無茶です)


by ミナモ (2008-03-05 09:09) 

さくら

こんばんは。
続編が出たんですよねぇ。
表紙を見て思わずにやりとしてしまいました。

登場人物が町の表情を現しているようで、いいですよね。
この町だからこそ映えるおっさん二人だなと思ったりします。
読後の満足感がいいですよね。

文庫待ちなので、レビュー楽しみにしてます☆
by さくら (2009-11-25 22:23) 

ミナモ

>さくらさん 
こんばんは~♪
そうなんですよ、私も出るとは思わなくてすっごく嬉しいです!!
表紙、良いですよねぇ(にやり)

>登場人物が町の表情を現しているようで、いいですよね。
―ああ、なるほど。
今、すごく腑に落ちました。 きっとこの町にいるから、この町の人たちと関わっていくから
このおっさん二人は生き生きとしてるんでしょうねw

…はははは、はい!///
実は借りて1週間経ってるのにもったいない症候群が出て未だに1章も読めてませんが…読んだら暑苦しい記事を上げたいと思います~。
by ミナモ (2009-11-27 23:17) 

sherry

> 人が人と関わっていくことは苦みもあるし辛いこともあるけど無駄なことではないな

ミナモさん、いいこと言うなぁ~!!
「やり直せることなんてほとんどない」って言ってた多田が変われてよかった!
ラストがすごいよかった!

まだまだ物語が続いてほしいと思った。
行天が好き勝手して、多田が怒ってあきれて脱力してっていう日常を
もっと見てたかった!

行天がすごい好きだった~!
行天の過去は知りたいような、知りたくないような・・・なんか辛そうで。
でも、やっぱり次は行天の再生の物語を読みたい。
行天にもそういう出逢いがあったと思うから・・・。

ところで、早速「番外地」を図書館で予約したら・・・188人待ちだった!
びぇぇぇぇ~~~ん!
もっと早く予約しておけば良かったっ!
半年待ちか・・・;;
by sherry (2010-01-28 08:04) 

ミナモ

>sherryさん 
わわわっ、あ、ありがとうございます~(てれ)
本音をぼそっとつぶやきました(笑顔)
だけどこの本読むと奥に潜めている暗い感情が見え透かされちゃって動揺しちゃうんだよねぇ。。

これの続編が「番外地」だけど、さらに続くんだって!ってインタビューで答えていたみたい。それで完結みたいだから、待ち遠しいっでも読むのこわい!!って今からそわそわしちゃってます(笑)
う、うわ~~、188人て! わたしのとこも、そのくらいだった気がするけれど、それってどのくらい待たされるのかと思うと・・・ど、どんまい!
by ミナモ (2010-01-29 00:45) 

miyuco

ミナモさん!映画化ですってよ!
多田は瑛太が、行天は松田龍平が演じるそうです。
映画「アヒルと鴨のコインロッカー」での
二人の空気感が好きだったので嬉しいです。
ううっ、楽しみ!
でも、不安…
しっかりした脚本であってほしい。
取り急ぎ「まほろ」ファンのミナモさんにご報告まで^^
by miyuco (2010-07-02 18:19) 

sherry

うをっ! ↑こちらのコメントを見てびっくり。
キャストが決まったんですね~。
う~ん、なんかこの二人は私のイメージとは違うけど
どんな映画になるのか楽しみです。

そうそう、エキストラの募集をしてたので、応募してみました^^
1回くらいできるといいなぁ~♪
by sherry (2010-07-02 23:12) 

ミナモ

>miyucoさん 
きゃあああああ!!
リアル叫びました。情報ありがとうございます!!
瑛太と松田龍平とは…思っていたよりも年齢若いですねぇ。
いや、どちらも私好みのイケメン俳優さんですがw
「アヒルと~」の映画はまだ視聴してないんですけど、miyucoさんが好印象持っているのなら、きっとこの映画化もダイジョウブだと信じられる!笑
でもやっぱりどうなるのか不安ですよね…実写化って…。。

とにかく!どんな映画に仕上がるのか楽しみでありますw
あと、こちらでもちゃん付けでいいんですよ~(何だか催促してるような・・笑)
by ミナモ (2010-07-04 00:19) 

ミナモ

>sherryさん 
よっしゃー段々この情報広がっていく様を自分のブログで見れるとは…!
食いつきますよね、ビックリしちゃいますよねこの情報は!!
私も知ったとき魂抜きかけた…(苦笑) 私はもっと配役は歳が上の方がいいなぁと思ってたんだけど(だからといって具体例が思い浮かばない…若い頃の豊悦とか?・笑)でも主演二人は個人的にも好きなので、やっぱり不安もあるけど楽しみ!

ええっ、そんな機会あったんだ…!!
当たってほしいね♪ 私の分まで出演者たちのお顔を拝見してきて…(ってそんなことできるのかな?笑) 
by ミナモ (2010-07-04 00:25) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 3

トラックバックの受付は締め切りました
ブログパーツ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。