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『断章のグリムⅨ なでしこ(下)』 [ライトノベル]

断章のグリム〈9〉なでしこ〈下〉 (電撃文庫)

断章のグリム〈9〉なでしこ〈下〉 (電撃文庫)

  • 作者: 甲田 学人
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: 文庫

●あらすじ●『―お姉ちゃん』悲嘆と暗闇の中で泣いていた金森梢枝の背後から、突然少女の声が囁かれる。背後の闇から聞こえてきた、小さく、くぐもった、しかし異様にはっきりと聞こえた声。忘れもしない、忘れるわけもない、しかし記憶の中以外ではあってはならない、死んだ妹の、“声”。金森琴里の自殺を発端に、徐々に悪夢が浸触していく海辺の街。だが蒼衣は、ユリと物語の行方が分からぬまま、雪乃を置いて、地元の普通の日常に戻らなくてはいけない。琴里の恋人だった臣と幼馴染みの一真を護るために必死な雪乃。そして悪夢は、雪乃を心配する蒼衣の予想を大きく裏切り、拡散していく―。鬼才が贈る悪夢の幻想新奇譚、第九幕。

 

シリーズ第9弾。これにて『なでしこ』編は完結です。今までのおはなしとは違った締めだったような。
痛い、おぞましく思える描写は健在で、今回も大いに描いてくれましたが(うああ)、それよりもやりきれなさが押し出されていた最後でした。

一真や臣、彼らの思いや行動に”最悪”の結末を想像してしまうあたり、今までのグロ展開を見せ付けられていた故の慣れができてしまったのかもなぁとしみじみ。電撃でも異色の世界を確立しつつあるように見えます^^;

「なでしこ」の配役の説明がまたもやイマイチ消化しきれてないのが悔しいところだけど、今回は少年たちの葛藤やら後ろめたさを楽しんでたり。それと<騎士>の覚悟。コレが一番キたかも。同じ過ちを踏ませないために彼らを送りだす彼の姿に涙出そう。


残念なのがー、雪乃と蒼衣の会話がほぼなかったこと(いつもどおり?)。未だに蒼衣は日常の生活を切り離したくないし、だからこそ完全に隔絶された雪乃との掛け合いは面白いんだけど(まぁそれ以上に乙女的展開を少し希望してるんだよねw)
さて次はどんなグリム童話を読ませてくれるのかな。


★★★☆


(シリーズ感想)
→『断章のグリムⅣ 赤ずきん(上)』(08/02/18)
→『断章のグリムⅥ 赤ずきん(下)』(02/20)
→『断章のグリムⅦ 金の卵をうむめんどり』(04/12)
→『断章のグリムⅧ なでしこ(上)』(08/13)
★『断章のグリムⅨ なでしこ(下)』(12/22)


ここから先は少々ネタバレ。


色んなキャラが悩みもがきあがく姿を見ていた1冊でしたが、その中でも印象に残っていたのは千恵でした。そんなにおっぴろけな出番なんてなかったのに、どうしても今見ているダブルオーの沙慈とリンクしてしまったんだよなぁ。

二人が共通しているのは”日常”から否応なく”非日常”へと身を委ねてしまった状況だと思った。

『あたしは 人 で な し には、なれそうもない』
”できなかった。できるはずがなかった。”

上は雪乃に投げかけた(呟いた)台詞。下は、一真に断章を向けようとしたときの独白。<騎士>の素質はあるのに雪乃のようにはできないと拒絶し、断章を使わねばならないときでもやはり今一歩踏み込めなかった千恵。
銃を撃てなかった沙慈のように、まだどこかしら"普通"の少女のようなんだよねー。この物語の中では貴重なキャラだと思います。

『……そう。あなたはそれでいいのよ』

雪乃が千恵に放った言葉は、彼女にはまだ引き返せる余地があるから、自分はもう戻れないところまでいってしまったから出た言葉のようにも見えたり。

この先、雪乃は<騎士>であることを更に自覚しながら戦おうとするのかな。蒼衣がもちっと頑張ってもらって、相応の少女の姿も見てみたいです^^*


タグ:甲田学人
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コメント 1

ミナモ

>ICE★DOLLさん 
niceありがとうございました✿

by ミナモ (2008-12-23 00:15) 

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