2015年マイベスト&10周年!でした [感想まとめ]
明けましておめでとうございます。
昨年の11月にて、当ブログも開設から10周年を迎えました。 開設当初から大分環境も変わり、年々、浮き沈みが一段と激しくなる中、こうしてのんびりダラダラと書いていられる場所もやっぱり無いとなぁと感じています。読書メーターやtwitterのような気軽に記録や呟きを書ける媒体は大変ありがたいと身に沁みておりますけども!
とはいえ、現状がっつり書く機会が作れないので、どうしても活動はtwitter寄りになってしまうのですが、今後もまったり暫く続けていこうと思います。
さて昨年の振り返りですが、28冊読了でした。何か月も1冊も読んでいない時期もあったのか…。最近は電子書籍が大活躍中です。kindleでしか読んでないけれど、他にも良いサービスがあれば手を伸ばそうかな。
そして個人的マイベストはこちら。選んだ作品、すべて初読み作家さんだった!珍しい。
阿部智里『鳥に単は似合わない』 ⇒感想記事
昨年の夏にガツンと衝撃を与えた一冊でした。八咫烏の世界観や情景にすっかりのめりこみ、宮廷の姫君たちの競い合いは、酒見さんの『後宮小説』を読んでいるかのような贅沢な感覚に取り込まれていたので、中盤から終わりにかけての展開の転がり方に驚きました。そ、そう転がっていくのか…!少女小説読みさんには特に好きではないかな!とってもお気に入りです。続編は主従コンビが活躍するとのことなので、ぜひ読みます。(色々仕掛けがあるんだろうなぁ)
白川紺子『下鴨アンティーク アリスと紫式部』 ⇒感想記事
副題の組み合わせに惹かれて手に取った一冊でしたが、想像以上のストライクゾーンに入った! 文学作品の縁から人の想いを紐解く展開にほっこり。ほんのり糖分ものせていて、読んでいて幸せな気分になれました。
夏目翠『クリムゾン・ヴァンパイア』シリーズ(全3巻)
吸血鬼(異形)の現代ものって、どうも惹かれてしまう。このシリーズは最後まで、少し殺伐していて、人の掛け合いが生々しく描かれて、かつ糖分も徐々にしっかり撒かれていて大変おいしかったです。こういうの弱いんだよ!
古野まほろ『セーラー服と黙示録』 ⇒感想記事
女子高生を中心とした謎解きが中心の物語だけど、三人の女学生が自らの得意分野で真実を突き詰めていくのが面白かった!でも、謎解きが終わった後で出てきた「真実」の奥深さにぞっとさせられました。深淵の一部を垣間見てしまって、表紙の女学生に惹かれて買った時の何となく予想してた物語と違っていて、思いもよらない思想に触れました。続編が今月出るようなので、楽しみでしゃーないです!
初恋時 - クリムゾン・ヴァンパイア (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 夏目 翠
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/01/23
- メディア: 新書
※2016/1/16 追記…設定の不具合?で、当記事の管理者からのコメントが投稿エラーになってしまいます。。コメントのお返事ができず申し訳ありません。引き続き、確認を行っております。
『セーラー服と黙示録』古野まほろ [読書]
孤島に浮かぶ、ヴァチカン直轄の’探偵’を養成する学校―聖アリスガワ女学校。卒業試験により鐘楼に閉じ込められた二人の少女は、明け方に鐘楼尖塔に磔の姿で発見されてしまう。麗しき青年神父と三人の探偵少女が事件の謎に踏み込んでいく。シリーズ第一弾。
はじめて読む方の本だったけど、とっても好みの一冊だった! 三人の女学生が自らの得意分野で真実を突き詰めていくのが面白かったな。学園の深淵は、ほんの少ししか見れてないだけで、まだまだおぞましい事実が潜んでいるんだろうなぁ…。非常に特殊な世界で時々難解なところがあるものの、読みやすく何より続きが気になってぐいぐい読んでしまった。
青年神父とか、とある少女の背負うものとか、もう少し踏み込んだところを読んでみたかったな。
ところで、「聖アリスガワ女学校」とか「水村英生」とか、某シリーズ某著者をほうふつとさせる言葉が出てきて、かの人と何かしら縁のあるひとなのかなと思ったり。しかも由来がそれらしく記載されていて、にやけずにはいられなかったよね。。
『烏に単は似合わない』阿部智里 [読書]
姉姫の代わりに世継ぎの若宮の后候補として宮廷に赴くことになった「あせび」。八咫烏が支配する世界で、春夏秋冬の名を持つ四家より遣わされた姫君たちの雅で熾烈な争いの先は…。シリーズ第1弾。
若宮の寵愛を受けるためお家ぐるみで競う麗しき春夏秋冬の姫君たちの物語と思ったら!終盤にかけての展開が思いがけないもので、すっかり、すっかりやられました。
特筆すべきは八咫烏の世界観や情景描写!緻密な舞台なのに違和感なくするっと世界に入れました。『獣の奏者』読んだ時のような驚きだ…。最後まで読み終わると印象が変わりますが、月夜に舞い散る桜吹雪の場面がお気に入りでした。そして、登場するものたちの物語に魅力とおそろしさを抱きましたよ。特に中盤で明かされるとある姫の物語が切ない。(第三者から見ると結構薄気味悪い雰囲気出していたのに…)それにしても初見で抱いた印象が最後には大幅に変わるとは。。
中盤までは酒見さんの『後宮小説』を彷彿とさせる雰囲気で、これは少女小説読みさんは特に好きではないかなぁ。 ある姫が仮面を剥いだあたりが女の闘い&政の駆け引き最高潮だったー…。
続編も今作とは雰囲気が変わり主従たちが活躍すると聞いているので、ぜひ読みます!
毛利志生子『ソルティ・ブラッド 狭間の火』 [読書]
京都府警刑事課に所属する新卒キャリアの宇佐木アリスは、ある放火事件の捜査を担当することになった。捜査するうちに、彼女は人間の血液を主食とする者たちの存在を知り・・・。
まだ序章のうちに入るけど、これからが楽しみな一冊! 現代に人知れず共生している「吸血鬼」。主人公アリスは、事件捜査と彼女自身の体質―事件や現場に居合わせる確率がとても高い―によって、 彼らの領域へ踏み入れることになり・・・。新卒刑事アリスと吸血鬼の理一との関係が面白いです。現時点で糖度がほぼ無い状態から・・恋愛になるのか友情になるのかさえも未知数のため、どんな転がり方になるか楽しみです。
と、続編前提で考えてしまっているけど、出るよね・・・?
(同文庫でお気に入りの『下鴨アンティーク』が単発ものかと思ったら6月に続編が出るそうなので、これもシリーズもののひとつだと思いたい・・!)
『異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵』谷瑞恵 [読書]
英国で図像学を学んだ千景は、ブロンズィーノの贋作の噂を聞き、幼馴染みの透磨と共に高級画廊プラチナ・ミューズに潜入する。そこでは怪しい絵は見つからなかったが、後日、ある収集家の持つ絵画が展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気付く。しかも鑑定を依頼してきたのは透磨の元恋人で・・・。シリーズ第2弾。
二人の距離感がたまらん!かつて距離が近かった記憶を取り戻してほしいような、でも事件も思い出すことでもあり千景を傷つけてしまう恐れから思い出してほしくないと、矛盾した思いを抱いて悶々する透磨。千景の祖父との約束もあり美術品のように大切にしたいのに、人間らしい独占欲が出始めてきて動揺したりと、1巻でクールなヒーローと思っていた彼の姿が段々変化していて面白かったです。絵に込められた想いをなぞり、紐解く才があることで孤独を背負う宿命だと半ば諦めて受け入れている千景も、『異人館画廊』で集うメンバーたちと関わったことで他者との接し方に欲が出てきて、人形っぽさから人間らしさになってきた印象。(特に透磨との掛け合いが大きい!)そんな今の千景に透磨の元恋人と会う機会を作るとは(笑)
スローペースな恋愛面も段々と本領発揮になるのかな。楽しみのような、今の絵画をベースに恋愛はほんのり程度の現状も好きなので、、気になるところ。
『うちの執事が言うことには4』高里椎奈 [読書]
烏丸家元当主の花頴の父とその家令・鳳が突然烏丸家に帰ってきた。ほぼ強引に当主の座を渡された花頴に対し「当主を辞めたいなら、僕が替わるよ?」と花頴の父は言い放ち…。シリーズ第4弾。
様々な事件や衝突を経て、少しずつ、けれど着実に二人らしい主従関係を築きつつある花頴と衣更月。そこへ花頴の父と家令の鳳が帰ってきて、さらに二人の関係に変化をもたらしてゆきましたね。わりと強引に(笑) やはり前当主と前執事の主従を前にすると、花頴たちの主従関係はまだまだ発展途上ではありますが、それでも段々息が合ってきている二人を見ていると微笑ましいやら初期のちぐはぐさが恋しいやら。花頴の父を尊敬するあまり、花頴を自分の主として本当に受け止めていないのではと懊悩する衣更月の独白があり彼にとっては苦悩しているけれど、、傍から見れば無自覚なだけで立派に「花頴の為」に行動しているようにしか見えません。特に最後のエピソードとか!1巻の冷めた感情が嘘のような変貌ぶりです。花頴の行動も、衣更月への信頼と情が伺えて、ますますよくなってきたなぁこの二人。
ところで、前回の件があったから出番を懸念していた赤目さんですが普通に登場して、結構おいしい立ち位置をちゃっかり確保していました。さすがです、赤目さん。花頴の良き(厄介な)友人として、今後もちょっかいかけてくるのかなと思うと楽しみ。
『うちの執事が言うことには3』高里椎奈 [読書]
半熟ながらも次第に主従関係を確かなものにしつつある烏丸家の当主花頴と執事の衣更月。しかし烏丸家に新たな脅威が襲いはじめ…。
2巻の予告通り、花頴の騒がしく厄介な友人である赤目青年の本性が顕わになった本書は、今までで一番の脅威でした。とはいえ、、赤目青年大活躍の話に至るまで、花頴と烏丸家の人たちとの間には疑いようもない関係が築き上げられている話を見ていると、実際赤目青年の話になったときは実は余り心配はしていなかったような。
衣更月の憧れの対象である執事の鳳と花頴の父の主従関係に今までとらわれがちであったのが、ラストの衣更月の一言で、二人らしい主従関係を着実に歩み寄り始めているなとニヤニヤしてます。花頴らしい主人の在り方も頼もしく、幼い部分も残っているものの、花頴への安心感が大きくなって気がします。