『ぐるりよざ殺人事件 セーラー服と黙示録』古野まほろ [読書]
断然、一作目より好みな一冊!
少女たちは、今後、根源となる勢力に抗っていけるのだろうか。。
『空と鏡界の守護者』小椋春歌 [少女小説]
術を掛け合わせる【連祷(れんとう)】で倍の力を生み出し、魔物を倒す精霊術士。精霊術士を育成する学園で、誰とも連祷することが出来ない落ちこぼれのエリルは、ある日学園一天才と称される後輩のリトと偶然連祷が成功してしまうが。シリーズ第1巻。
わ、わんこだ。…これが、わんこヒーローか!
びっくりするくらい彼が言葉を発するたびに、すべて犬が尻尾ブンブン振って「ワンワン!」と叫んでいるような幻聴が聞こえてきまして、、貴重な体験でした。眩しいくらいに一途で、好き!を隠さない年下わんこヒーローは、個人的に今まであまり読まなかったので新鮮だなー。
落ちこぼれヒロインと天才少年という組み合わせに惹かれて手に取ったものの、あくまで表面を指しているだけで、お互いの隠していた真実や、二人一組となり祝詞をもって敵と戦う設定が面白くて、一気に引き込まれた。特に戦闘シーン、歌い上げる姿が様になっていて、かっこいい。幻想的な視界が広がるような、想像がふくらむのが楽しかった。
個人的には、過保護で優しい友人たちの糖分を感じずにはいられないんですけど…主人公たちとは違った方向の面白いやり取りが垣間見れたので、次巻期待したいところ。あとヒーローの暴走気味な攻めの姿勢も楽しみ。
『探偵・日暮旅人の探し物』山口幸三郎 [読書]
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』米原万里 [読書]
1960年、プラハ。小学生のマリは個性的な友人に囲まれていた。男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。三十年後、旧友たちを訪ねに激動の東欧に足を運んだマリは、少女時代に隠されていた彼女たちの真実を知る。
ロシア語通訳の著者がソビエト学校に通い様々な国の友人たちと過ごした少女時代を綴ったエッセイ。エッセイなのだけど、マリの友人である三人の少女のエピソードに、それぞれ臨場感あり物語を読むような感覚でした。そう、小説のような非現実な日常をマリ(著者)は過ごしたんだなぁ。なんとも言えない余韻が残る一冊で、この本を思い出すとおなかの芯のところが渦巻くような気分になります。。
民族や社会の思想って、何だろうと改めて問いかけられたような。ひとの奥底に根付くものや思想や政治的背景による対人関係を―少女の目を通してみた世界に圧倒されました。中でも表題にもなっているアーニャの話は衝撃的。自分の周りの環境によって人格はかたどられるとは思うけれど、それにしても激動する社会の中で身を置くためにはそうならざるを得なかったのか、それとも…。再会したときの著者の心境を思うと、複雑でした。
本当に読みごたえがあった!いつも読むようなジャンルとは全く異なるものだったので、新しい思想や考えに触れることも多くて、とてもおもしろい一冊!
『ことり』小川洋子 [読書]
人間の言葉は話せないけれど、小鳥の言葉を理解し話すことが出来る兄と、兄の言葉を唯一理解できる弟。小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、つつしみ深く一生を生きた。
小川洋子さんの文章は本当に美しくて、自分の中で嫌なものが取り払われて心穏やかな気分になる。
ただただ静謐で、穏やかな日常に満たされる。小川さんの作品を読むときは、独自の世界のまま陶酔させずに、目を背けたくなるようないやらしい現実も入れてくるので色んな気分にさせられるなぁ。人間の言葉を話さず、小鳥の言葉「ポーポー語」のみを話す兄と弟の生活は所謂、世間の目からすれば奇妙に映る光景で。ただそれは社会からの視点であって、二人のつつましい日常を脅かすものではない。振り返れば、兄と弟の暮らしを描いているのは本書のうち半分にも満たされていないのだけれど、とても印象に残る。
それにしても、表題がひらがなには意味が込められてたのか…。
ひとりになった弟の暮らしを最後まで読み終えると、思わず最初の数頁を読み返して、ようやく読み終えた実感を持ちました。穏やかな余韻に浸った一冊。
『宝石商リチャード氏の謎鑑定』辻村七子 [読書]
大学生の中田正義は、酔っ払いに絡まれている宝石商と・リチャードを助けたことをきっかけに、隠し持っていた宝石の鑑定を依頼することなる。絶世の美貌を持つ宝石商と直情型の真面目な青年が、宝石にまつわる謎を解き明かす。
面白かったー!!良いコンビものでした。
初読み作家さんですが、初めて読む人の文章はとても新鮮だなぁとしみじみ。進め方も登場人物の話し方や台詞回しも目新しくって面白い。…にしても面白かった。
宝石をめぐる人間関係が、ほろ苦さが残りつつもあたたかみのあるドラマがあって、夢中になりました。+単純に宝石への探究心が出てきてわくわくしながら読んだ!宝石にまつわる蘊蓄が登場人物の話に絡んで繋がった時も良かったけれど、宝石という新しい知識を吸収できるのが面白かったなー。宝石にも和名があるんだね・・話に出ていた「ざくろ石」という言葉がとっても粋な響きで好き。
主人公の誤解を招くような発言が玉に瑕だけど、素直さ故と思えば微笑ましい…のかな…。態度が分かりやすい助手と、感情が分かりにくい(けど、読み進めるとクセが分かってきて読者にとっては分かりやすくなってきている。。)雇用主という楽しいコンビが増えました。続き出てほしい!
『美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星』西尾維新 [読書]
学園のトラブルを非公式非公開非営利に解決すると噂される謎の集団「美少年探偵団」。十年前に一度だけ見た星を探す少女が、個性豊かなメンバー5人に依頼を託したことが騒動の幕開けに―。シリーズ第1巻。
西尾さんの本読むの久しぶりだな!一番夢中になっていた時期(戯言シリーズ)から数年ぶりに新作を読みます。講談社タイガという目新しいレーベル名のラインナップが気になったのもあるけれど、「美少年」と「探偵団」と名がついて、しかも超個性のキャラクターを生み出す西尾さんとあっては、読まねば!と思い、つい…。変わってなかった!軽快な言葉のやり取りや、次第にスピードが乗って最後までぶっ飛ぶ展開の壊れ具合とか。シリーズ比大人しめかなと思っていたキャラクターたちも、一筋縄ではいかない美少年たちばかりで、彼らに振り回される唯一のヒロイン・眉美ちゃんの今後が心配…ではなく楽しみです。
すっかり好きになって、さっそく2巻も読みましたが、1巻で目立っていなかったメンバーにスポットライトが当たったり、美少年探偵団に対抗勢力が出てきたり、眉美ちゃんの立ち位置がだんだん確立してきたりと、ますます楽しい展開になってました。今後の刊行予定が、さすがの西尾さんペースなので、あまり間をおかずに新刊読めるみたいです。気になる!