『黒祠の島』小野不由美 [読書]
探偵事務所の式部は、失踪した作家・葛木志保を探すため”邪教”が伝わる島に赴く。だが住民たちは余所者を嫌い式部の調査を妨害する。そしてついに、神域で磔にされた女の死体が発見されてしまう。
俗世間から隔てた島に根付く慣習や思想は受け入れがたい異質さがあり、理解を超える部分が恐怖心をより増幅させた一冊。暑い時にはホラー色濃いものが読みたくて手に取ったけれど、十分背筋が凍る物語でした。ひとの信仰が式部や私のような「余所者」を惑い慄かせ、最後まで振り回されていました。読み終えた今も、何かが残っている感覚が抜けない…。
彼と彼女の禅問答のような掛け合いが好きです。その場を含めて。現実的ではない側面、これ以上にない真実の場でもあって、痺れた。島のそこここで埋め尽くされる風車と風鈴の描写だけでも、うすら寒い気分に襲われて(そして展開がどんどん、夜にはあまり読めない作品でした。
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