『she&sea 海賊王の退屈』糸森環 [少女小説]
水恐怖症の笹良は突如スクリーンから溢れた波に飲まれ、気づけば幽霊船に立ちすくんでいた。海賊が海を支配する異世界へ飛ばされた彼女は、海賊王のガルシアにより”冥華”として船の守り神として海賊船に留まることになり?
個人的に超思い入れのある物語が書籍として読める幸せを充分に噛み締めました。
この物語に出会った時は高校二年生だったので、もう7年ほど経つのですが、今なお色褪せずに自分のなかで大切な物語として読んでいます。著者が書籍出版を始めてからひそかに希望を抱いていたのですが、こうして形になった本書を持ち、読めた今ようやく実感が伴ってきたといいますか。本当に嬉しい。
異世界へ飛ばされた笹良が、苛酷な状況下で持ち前の「乙女」の力を振り絞り道を切り開いていく姿は眩い。ただやはり、ごく普通の十代の少女であるのだと認識させられる弱さや怯えも勿論あって。見知らぬ世界で、警戒心を絶えず持たなければいけないなかで、どう自分の位置を確率していくのかで笹良らしい選択と行動が私は好きなんだなー。
個性豊かな男性たちのなか女性一人という設定からすれば逆ハーものなんだろうけれど…笹良に向ける感情が好意の欠片もありゃしない(現時点では)、むしろ容易に心を許せない男性ばかり。彼らとの距離感の変化も今後気になるところです。
始めと終わりなどの所々で書籍用に修正されているものの、話の軸はweb版と変わらず収録。web版の1/3くらいが本書に収録されている状態で、今後はより苛酷で残酷な展開が笹良を待ち受けているのですが、一方で笹良の成長や周囲の変化や、舞台も広がり始め、ますます見離せなくなっています。 できることなら、続きも是非書籍で読みたい…!(そもそも、笹良が何故異世界に呼び寄せられたのか、そして元の世界へ帰る手立ては見つかるのか等明かされていない部分もあるし、何より物語のキーとなるあの方も登場してないし…!)
そして、引き続きweb版でも本編の連載を楽しみにしつつ、完結を気長に待ちたいと思います。
コメント 0