『首の姫と首なし騎士 奪われし花嫁』睦月けい [└ビーンズ文庫]
”一つの”家族”になってもいいでしょう?” 公示期間が終わり、シャーロットはエルマー家セシルとの婚姻成立を迎えようとしていた。身動きがとれないなか、彼女に出来るのは信じることのみ…。過保護な<首なし騎士>がついに暴れる?シリーズ第8弾。
こういう終わり方かー。一番しっくりくるのに、切ない余韻。
重苦しい雰囲気がここ数巻続いてきたけれど、ようやく息がつけた。 最悪といえる状況をひっくり返せるのか非常に不安であったものの、みんな本当よく頑張ったよ! 首なし騎士も本当によく耐えたなーと今までの鬱憤を晴らすかのような勢いにしみじみ。でも、ここまで多くの重臣たちを手中に収められるほどセシル家の脅威に、王側の人たちは全く気づかないものなんだろうか…。 ここで一段落ついたわけではなく、むしろここからが大変なんだよなと思い知らされたり。
それにしてもこのシリーズは複雑な家族を描くなぁ。例の独白の部分―本当に彼がほしかったもの―についてのやり取りが、読んだ後もしばらく頭から消えなかった。シャーロットの家族の形は変わることができるのだろうか。(今回でどうしようもないところまで悪化した親子関係だけど。。。)
さて次巻からは本題の”次代の王探し”が本格的に始まるのかな。たくましく成長したクローヴィス王子の提案が、今後どんな影響を及ぼすのかとか、混乱のさなか妙に存在感を出した新顔の方たちの動向とか新たに気になることがちらほら。もちろん、この混乱のさなか自覚した感情だったり、思わせぶりな仕草だったり、周囲の生暖かな反応だったり…その辺りの糖分にも期待!
以下、本編の内容について触れてますのでご注意。
セシルについては想定内の結末になったとはいえ、けっこうお気に入りのキャラだったので、分かっていても退場するのは寂しさを感じずにはいられないなー…。ある意味シャーロットに一番近しい存在で、存在だった青年。
彼がよく口にする”小さな貴婦人(リトル・レディ)”の呼び方がとってもとっっても、好きでした。 本当に寂しいな…。
エルマー家の人たちは最後まで得体のしれない集団だったなー。わざとなのか、ライアン・エルマーの動機については直接彼から話さないようにされていて感情がうかがえなかったし。オウエンも何故最後にセシルへの救済を求めたのか、兄としての言葉なのか(彼自身の人となりが掴めず)判断できなかったしで。しっかし最初にこんな大きな敵を相手にして、今後どんな波乱が待っていることやら。ひとまず笑顔の貴婦人がどう関わってくるのか気になる。
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