『黒猫の接吻あるいは最終講義』森晶麿 [読書]
”なんでわからないんだろう。 あの瞬間に聞けなかったことが、すべてだったんだよ。”黒猫と付き人がバレエ『ジゼル』を鑑賞中、ハプニングが発生する。5年前にも同じ舞台、同じ演目でバレリーナが死亡する事故が発生していた。2つの事件の関連を気にする付き人だが、黒猫はいつもと違い話しに乗ってこない。仕方なく付き人は一人で事件解決に乗り出すが…。シリーズ第2巻。
ウワー!なんなんだ黒猫と付き人の二人は!! 床ローリング状態。
黒猫が探偵役で付き人が助手役という構図が一転、今回は付き人ちゃん一人が事件解決のため奮闘してました。黒猫の元恋人とされるバレリーナが渦中の人となると、余計に一人で頑張ろうとする付き人。そして、黒猫とのすれ違いもあって悶々状態。居心地の良い二人の距離感は、今回ばかりは色々と危うくもあってやきもきさせられました。ちらっと糖分も含めつつ基本的には淡泊めいた関係と見てたので驚いたなー。そして、黒猫の仕掛けが…に、ニクい。
相変わらず美学理論についてはついていけない部分はあるものの、前巻より楽しく読めた箇所もあり。「優美」についての見解は面白かったな―。しかし、美学を殺人と絡めるには、どうも浮世離れしたような曖昧な感覚に陥るなぁ。ポオの『黒猫』の犯人のように、事件を企てた人の心情を遠くに感じてしまった。
サテ、黒猫の付き人という関係も解消されてしまうし、物理的に二人の距離が遠くなってしまった今巻。 何もかも不確かなままだけれど確実に充足感はある二人の関係。次も気になります。 「厄介な男」といい「ばきゅーん」といい…黒猫にキュンキュンさせられてしまって、どうしたらいいのか。
コメント 0