『カマラとアマラの丘』初野晴 [読書]
廃墟の遊園地には噂がある。自らの大切なものと引き換えに動物を弔う場を与えてくれる霊園と、その墓守の青年の噂。導かれる者たちの、残酷な真実が暴かれた先に待つものは。
初野さんの単発の本は、いつも生きていること、命についてつい考えさせられる。私はペットを飼ったことがないけれど、彼らとの接し方の意味を考え詰めていくと何だかどうしようもない気持ちになってしまう。
ファンタジーな要素がある反面、人間側の心情がとても切実で汚れていて、リアルさが浮き彫りになっていた気がする。だからこそ、ビックフットの話では絶望し、「ヴァルキューリの丘」に涙してしまった。 「シレネッタの丘」こそ、究極のファンタジーと思ったけれど、言い切れるのか自信がない。うーん、どの話もお腹に鉛のような感覚を残したまま終わってしまった。余韻に浸る。
本編では曖昧のままにされていた青年の今後が気になる。彼はいつまでも墓守として立ち続けているのだろうか。
タグ:初野晴
2013-05-16 23:07
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