『夜の底は柔らかな幻 下』恩田陸 [読書]
〈途鎖国〉の山奥に広がる禁足の地「フチ」。山の長たる〈ソク〉に会うため、実邦は乗り込む。だがそこには、不気味さと残酷な景色が待ち受けていた。そして山に向かって凶悪な者達が集まり始め…。
残酷で奇妙な美しい情景。これ好きー!
はーやっぱり恩田さんだった。素敵。 謎に撒かれてしまった幕引きで明らかにされていない部分が所々あるも、この結末を受け入れてる。とても気になるけれど真実を全て知ってしまえば味気ないと思わせるようなラスト。 全てを理解するには頁数が足りないし、語るつもりもなさそうだけれど。「もしかして」と思わせたまま謎は謎のままで終わりを迎えるこの展開は、私は好みですね。近年の作品の中では特にお気に入りだなー!
お話の転がり方もですけど、やっぱり登場人物たちに最後まで翻弄された。それぞれ何かしら暗い事情や危険な性格を持っていて、だからこそ誰がどう行動に出るのか(はたまた誰と組むのか)読めなくて、面白かったです。(かつて共に暮らしていた三人の少年たちが今は袂を分かれ、殺意を向ける間柄になってしまう辺りとかもっと読みたかった。話の中人に居る”彼”の人物像をもう少し覗いてみたかったな…。 )
そんな人達ばかりが出てくるので戦闘は必須。ただしここで、特殊能力を持つ〈在色者〉がメインとなるので戦闘も通常ではありえない光景が出てくる。とても残酷なのに惹き込まれてしまう。 そういえば、暗くて殺伐とした展開は『エンド・ゲーム』をふと思い出します。 「常野」の人達よりも厄介な奴らばかりですが。
いやー、久しぶりに恩田作品でキャラクタのやり取りに興奮した!
ラストでは叫んでしまったよ。 ここ、拾ってくるなんてー!
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