『1/2の騎士』初野晴 [読書]
幼いころ母を亡くし持病を抱える女子高校生マドカは運命の騎士「サファイア」と出会う。もりのさる、ドッグキラー、インベイジョン、ラフレシア、グレイマン―。街に忍び寄る狂気に立ち向かう少女と騎士の、闘いの物語。
「ハルチカ」シリーズ以外著作は未読でしたが、勧めてもらったのを機に読んでみました。凄く好き。
マドカとサファイアの関係が好みでした。最初こそ手探りあいだったのが事件を共に闘うことで段々関係が変化していって…。ブラジャーのくだりは、何だか「らしい」感じでお気に入りの一場面です。そんな二人の距離感がとても好きで、心地よくて、よけいに辛かった。話の隅にちらと匂わせる文章に嫌な予感がどんどん募っていって…。最後の一章は、ある意味残酷に思えてしまった。けれど、これが再生と再会の物語なら…。
事件は心が重たくなるものばかりで、その一方でマドカを支えてくれる周りの人の存在がとても温かみがあってホッとさせられます。親友の加奈子ちゃんや大人たちを始めとして、事件で関わった人たちもやさしい人が側に居て良かった。色んな感情が交差していくなぁ。
狂おしいほど切なくて重たい。けど、こういう余韻に浸れる物語は大好き。久しぶりに、頁を捲る手が止まらない感覚を経験しました。教えてくださったt-snowさん、ありがとうございました。
切なくて叶わなかったわたしの恋の話――
そして彼と経験した、受難と、智慧の戦いと、自己犠牲の物語でもある。
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