『巷説百物語』京極夏彦 [読書]
江戸の世を舞台はびこる奇怪な事件を話術巧みな”小股潜り”又市とその仲間が暴き、悪党を退治する「仕掛け」を策す時代小説第1巻。
妖怪の仕業とされる現象や事件が、実は人の手によって仕立てられたものばかりで、真実が暴かれるたびに覗いてしまう人の業だとか因果なものが重くて辛い。それでも巧みな展開と又市の話術で結局は面白く読んでしまうんだなぁ。 やるせなくて、かなわない。
小股潜りの又市をはじめ、山猫廻しのおぎん、初老の商人、そして考物の百介(諸国を旅し百物語を作ることを夢見る男)が面白い演者と化している。まぁ百介はどちらかと言えば「こちら側」の第3者的立場なので彼と一緒にあざやかな仕掛けに唖然とするばかりでしたが。勧善懲悪ものというか、因果応報というか。悪者には罰をの傾向。ただし彼らは実際に裁くのではなく罪を浮き彫りにして促すだけに留まっている。人の無情さと情けを同時に感じてしまう話ばかりだった。
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