『夢違』恩田陸 [読書]
「何かが教室に侵入してきた」。小学校に併発する怪奇事件の真相を追う浩章にちらつく、亡くなった初恋の人の影。十数年も経つ今になって何故彼女が現れるのか。”夢は外からやってくる”――もしや夢が現実世界を蝕んでいるのか??
著者2年ぶりの新作は、人の見る夢を題材にした幻視サスペンス。 心底、夜に読まなくて良かった。 ここ数年の著書の中で一番楽しめた気がする。夢をこんな形で恐怖や怪奇の対象として描けるのかと。八咫烏、水仙の香り、「亜麻色の髪の乙女」-ふとしたものが、段々不気味に思える不思議もあって疑惑と恐怖が増殖されていく気分を味わいました。ある少女との一件は特に怖かった。
懐かしい感覚が次第に恐怖に繋がり、無意識下に置いてあったものが引き摺り出される気味の悪さ。ありえない現象と裏付けるような現実と頭が拒否する事実。奇妙な感覚に陥るのが恩田さんの本を読むときの醍醐味だなぁと思っていたり。既出作だと『Q&A』『まひるの月を追いかけて』に通じるものがあるかな。
個人的にはモヤモヤの残るラスト、この結末は人によって良し悪しが分かれると思うけれど私はこれが著者らしさだと好意的に思えました。夢を可視化する(=「夢札を引く」)行為が世間に馴染む世界は居たくないなとどこかしら居心地の悪い思いで読みきった一冊。
ところで、人間の意識していない深層を探る行為って清水玲子さんの『秘密』を思い出したり。
「みんなの?」 「みんなの――外側の――」
早夜香は口ごもった。顔がやや紅潮している。
が、小さく頷いた。言葉を見つけたようだ。
「外側のみんな」
「外側のみんな?どういう意味かしら」
「山から来る」 「え?」
「いつもはいない。 山から来る」
面白かったです。
ページ数は多いのに読みやすく、1日で一気に読んでしまいました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
by 藍色 (2014-01-24 14:13)
☆藍色さん
読み応えのある頁数でしたよねっ。私も読んだ当初、夢中になって一日で読み切ってしまいました。
TBありがとうございます♪
返信させていただきます~。
by 香穂 (2014-01-26 20:57)