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北村薫『スキップ』 [読書]

スキップ (新潮文庫)

スキップ (新潮文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫

昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた。目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ―でも、わたしは進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、『わたし』を生きていく。

昨年の3日、初めて北村作品を手に取ってからちょうど1年を迎えました。 初北村作品は「円紫師匠と私」シリーズだったんですけれど、その頃から、本書含む「時と人」三部作は、たくさんの方からプッシュして頂きました。 で、上記シリーズ読んでいる間に勢いで買いはしたものの、今の今までずっと寝かせておりまして…。
不誠実すぎて、もう何を言っても…ですが、本当に、本当にこの本読めて良かったです。 オススメしてくださった方たちへ、この本と出逢う機会を作ってくださって、感謝します。 1年越しの読了…となってしまいました。読み終わったとき、何も言えない気持ちになってしまい、この記事を書いている今でも、この本の感想は書きにくいです。 ただ、すごいものを読んでしまった、と思うばかりで。

真理子が二十五年後に「スキップ」した後の出来事。 真理子が対面した”現実”の残酷さが、実感が沸かなかったのにジワジワと心細くなり、揺さぶられ、ついには決壊が崩れて。 受け入れるしかないと、一旦腹をくくってからの彼女の行動ひとつひとつに、憧れ…に近いのかな。そんな感情が心を占めてました。
真理子の”夫”と「先生」「生徒」として会話する場面と、彼女が先生として教壇に立ち、授業や日誌を通して生徒と交流する場面が、特に印象に残った。

ラスト、読了。 身体全体にしみ渡るような、満足感。 いい本を読んだ、だけではなくて、これからの自分への励みになるような、そんなパワーをもらった1冊。
続く『ターン』も楽しみにしたいと思います。

2010/8読了[黒ハート] *拍手ボタンブログ村 読書日記

追記。新田くんが、大好きでした…!!(あんだけ上で真面目に書いたのに、不純な感想だなァ・・一言言わずには、いられなかったの) ああでも、彼の仕草や見せ方も、ラストへの伏線だったのかと思うと苦しい…。
あと、この主人公の「真理子」は円紫師匠と私シリーズにも登場した、あの「真理子」と同一人物ではない、よね? 苗字も違うし…。でも、円紫師匠に出ていた彼女の行く先を考えると、同じ人であってほしいような…そう思ってしまった、少しだけ。
タグ:北村薫
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コメント 2

takao

『スキップ』は本当に素敵な作品ですよね。
あの現象については、ちゃんと考察があるようですが、私はそんなの関係なく、25年分の記憶を失おうとも、前向きに歩いて行こうとする彼女の前向きさがまぶしくて仕方ない、そんな作品だと感じています。

読んで良かったと思ってもらえたことが、何より嬉しかったりします。
by takao (2010-09-09 19:40) 

ミナモ

>takaoさん 
オススメしていただいてから、実に半年ほどお待たせしました…><;
ちゃんとした考察があるんですか?!それは凄い…けど、辛いですね。私は絶対、ラストは元通りになると思っていたので。。
それでも、彼女の前向きな姿がまぶしかったですよね。 あんなに絶望してもいいほどの状況なのに、悔いの残らない生き方をする真理子の姿は、言葉にできません…。

読めて本当によかったです♪ ありがとうございました!
by ミナモ (2010-09-10 23:25) 

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