長野まゆみ『レモンタルト』 [読書]
若くして逝った姉。遺された義兄と私。一軒家でのふたり暮らし。会社での秘められた仕事。不可思議な事件の数々。―ミステリアスでスウィートな義兄と弟の物語。
可愛らしいタイトルだなと思って読んでみたら、切ない片想いのお話だったという。 長野作品は基本的に本棚で見つけたら読むので、前知識ナシで物語に入ることが多いです。 義兄(姉の夫)の胸の内が見えないからか(主人公が天然タラシだからか)主人公頑張れって思った。
すごく、切なかったの。 主人公が抱えている想いは恋情なんだと察知できるのに、「好き」という感情が形としてなかなか出てこなくて。 自覚がないくせに、義兄に持ち出された再婚話に敏感になったり、ヤケ?になって他の男性と関係を持ったり…なのに、妻の遺した記憶を振り返っている姿を見ては傷ついて、想いを断ち切れるわけでもなくて。 章ごとに、主人公はトラブルに巻き込まれてるんですが、ここぞという時にタイミングよく義兄が助けに来てくれるんですよねぇ。
そりゃ、揺れてしまうのも仕方ない…のかな。
義兄と結ばれることはすごく望んでいる…わけではないと思う。欲望はあっても(笑)。 それでも少しは報われてほしいなと思いました。 義兄の母がイヤに積極的なのもあるけど^^ いい性格してるなぁ。
微妙なニュアンスで言葉が用いられていて、艶めいた雰囲気でした。続き…出てほしいけど、出ないような気がする。
この煮え切らない、燻った気持ちがずっと続いている。モヤモヤ。
2010/9読了 *拍手ボタン*
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