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長野まゆみ『あめふらし』 [読書]

あめふらし (文春文庫)

あめふらし (文春文庫)

  • 作者: 長野 まゆみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/08/04
  • メディア: 文庫

きみがそうやって生きているのは、おれがまだタマシイをつかまえているからなんだぜ―ウヅマキ商會を営む橘河にタマシイを拾われた岬。蛇を捕まえたり、昭和32年生まれの少年に傘を届けたり、アルバイトとして様々な雑事を引き受けるが、背後には常に怪しげな気配が…。時空を超えて煌く8篇の和風幻想譚。

長野作品はほんの数作ほどしかまだ読んだことがないけれど、作品によって私の好き嫌い(というより苦手)がハッキリ分かれるなぁと思う。 今回は当たりでした。
現実に異物が紛れ込んだような(あるいは自ら迷いこむような)そんな独特の世界観に惹かれた。異世界…と呼ぶほどでもないけど、違和感を感じるような。こういう世界観を作り出すの、うまいなぁ。

市村、中村、橘川。三人の男性の微妙な関係性が好きでした。一言では言えないような、腹に一物あるような。 出来上がっている”ふたり”よりも、いがみ合っていて微妙に噛み合っていないのに無意識に互いを気にしている”ふたり”が好き。 しかし、ただ一人だけを想う…という、そんな純情めいた気持ちを持っていてほしいなと「彼」に思ったりも。 ラストの彼は一体誰なんだろう…って私が忘れているだけかな。

若干、展開に?ともなったけど。 途中から市村の兄貴が重要になってきた…と思ったらそんな風に話が転がるのかと。連作短編が、読み終えてみればひとつの物語になっていて。
微妙に謎を残しつつも、終わってみればしっとりとまとまっていたような気がします。 うーん、再読したいかも。


2010/8読了[るんるん] *拍手ボタン


タグ:長野まゆみ
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コメント 2

sherry

ミナモさん、読みましたよ~!
私も長野さんのこの世界観が好きです♪

橘河、市村兄弟、そして今作登場の仲村の関係がいいですよね。

「純情めいた気持ちを持っていてほしいと思った彼は、橘河ですか?
橘河はよくわからない人ですよね?
恋愛感情を持ってるのかな?誰に?
う~ん、いまいち判然としないんだけど、そこが魅力でもありますね。

ラストの『彼』とは鷹司のことですよね?
鷹司は仲村が入った器のことじゃないですか?

鷹司のタマシイが抜けた身体も橘河のもとに戻りたかったのかな、
だから仲村のタマシイを呼び寄せたのかなぁ~と思っていました。

市村弟の正体にも驚きました。身体は白郷夫人の戦死した夫と
いうことなんでしょうねぇ~。

面白かった~。もうちょっと先が読んでみたかったな。
せっかく市村峠が前面に出てきたからね~。
by sherry (2011-08-15 20:15) 

ミナモ

>sherryさん 
こんばんは!読みましたか♫ 本作は長野作品でもお気に入りなのです~。

一言では言えない男性陣の関係がいいですよねぇ。なぜだか惹かれました。
多分、「純情めいた~」の対象は橘河だと思います。
色んな男性と関係を持ちつつも彼の腹の底が今一掴めないままラストを迎えてしまったので、消化不良といえばそんな気もしますが、そんなミステリアスな所が惹かれてしまいますね!

鷹司と仲村のくだり、よく分かってないまま読み終わっちゃったんだよね;
どちらも橘河に惹かれているのだとは分かったんだけど。。
市村弟の正体はびっくりでしたよ!(゚д゚) すごく非現実的だけど、長野作品だと妙に納得してしまいます。

そう!ぜひとも続編でも読みたいと思ってるけど、多分出ないだろうと思うと、、悶々します><; 長野さんのお話って、「続きを出してほしい!」と思う本が多い気がします。ラストが曖昧に終わらせてる、というのもあるかもしれないけど。
by ミナモ (2011-08-16 19:58) 

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