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北村薫『秋の花』 [読書]

秋の花 (創元推理文庫)

秋の花 (創元推理文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: 文庫

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。

シリーズ第3作(⇒前巻「夜の蝉」)。

シリーズ初の長編です。一人の少女の
今まで日常ミステリが中心だったので、初めて誰かの死の謎を解く展開になって、少し戸惑った。
円紫師匠は中盤あたりから登場するので、それまで「私」がこの事件(或いは事故)をどう受け止めて行動するのか気にしながら読みました。

……うぁぁぁぁ、泣いたー!! こんな“真実”が待ち受けていたなんて。 運命としか言い表すことができない、よ。 やるせない。苦い。 苦しくて叫びたくなった。ミソのミステリ部分にも納得。 そういうことだったのか・・・・・・。
そのまま絶望的な気持ちにならなかったのがせめてもの“救い”。 悪意がないとは言い切れないかもしれないけれど、わたしはあそこで救われた気がしました。


 

 「それでも、その意志が残ると思います。絵が残る音楽が残るというのも、僕にはどうもその絵その音楽だけのことではないような気がするんです。たとえばモーツァルトの楽譜も記録も演奏も総て消えてしまい、この世の誰一人彼の作品も存在自体も知らなくなっても、それでもモーツァルトの音楽はどこかに残ると思うのです」  (p.245より)

この巻でも、正ちゃんはカッコ良くて憧れる。 なんだろうねえ、あの台詞まわしに妙に惹かれる。
あと、「私」は芥川にシュウチャクしているような。と思ったら次が“彼”メインだった。
相変わらず「私」の読書遍歴がすごいよ。


タグ:北村薫
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コメント 4

みーはー熊

あ、横に「かつくら(活字倶楽部)」が出てる~♪
伊坂さんの特集なんだ~^^
by みーはー熊 (2009-12-04 14:04) 

ミナモ

>熊ねえさん 
フフ・・ついに私もかつくらーデビューしましたよっ。
じっくり読んでから記事にあげたいと思います~。
伊坂特集は―たっぷりで満足っ。
by ミナモ (2009-12-05 10:21) 

アイスっこ

北村薫さんの本は
スキップとかしか知らなくて
このシリーズはじめて読みました。
すっごく面白いですね。
今,夜の蝉まで読み終えました。
すてきな本を紹介して
いただいてありがとうございます。

by アイスっこ (2009-12-14 14:28) 

ミナモ

>アイスっこさん 
わたしは逆にスキップ読んでないんですよー・・積んであるけど(ボソッ
このシリーズが初・北村さんだったのですが、一瞬で虜になってしまいましたv
夜の蝉の次、この「秋の花」は前2作と違って長編ですが、これも面白かったですよー。さらにその後の「六の宮の姫君」は、文学系の本が読みたくなります・・笑

いえいえ、こちらこそコメントいただけて嬉しいです。
こういうお言葉はとても励みになりますっ。よければまたお越しくださいませ~
by ミナモ (2009-12-14 21:05) 

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