五條瑛『プラチナ・ビーズ』 [読書]
脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった…。同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。北朝鮮の権力中枢で、何かが起きている―。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは?米朝の謀報戦を鮮烈に描く、本格スパイ小説の新鋭、入魂のデビュー作。文庫版のための特別描き下ろし短編『ミスター・オリエンタル』も収録。
骨太でした。厚みのある頁数なのに、何だろうこの吸引力!! あまりにも集中して一気に読んだので、読み終えたとき首と腰がギシギシしてて痛かったです。。 いやだって、魅力的な男性陣(おまけに迫力もあるという…)!! そして物語に潜んでいるメッセージに気づいたときの衝撃ったら。
特殊な事情を持つアナリスト葉山が感じた違和感。それは次第に膨れ上がり、国家レベルの代物に…。読み終えて、改めて表紙のタイトルを見て、ため息。鋭い人は中盤でタイトルの意味がわかってしまうんじゃないかなぁ。安心しきった者たちへの、当たり前に享受されている者たちへの警告と糾弾。もうひとつ、隠されたテーマは「家族」かなと。二作目はそれが特に色濃かったですね。
登場キャラですが、ほぼ男性陣が占めてます。ハードボイルド?(ただし主人公は軟弱気味)。 主役の葉山くんは自らの出生はたまた過去のトラウマのせいか、もう鬱陶しいくらいのネガティブさを発揮してるのですが、ささいな情報を頼りに彼なりに奮闘する姿に次第に好印象になりました。 むしろ、葉山頑張れと応援してた。それに、何か可愛いんですよこの人。三十路すぎたばかりのはずなのに。何でだろうと考えてみれば、彼の周りにいる男性陣のせいかなと(笑)。 上司・エディのいじめっ子気質や、何だかんだで頼りになる坂下、洪なんてオープンでしたね。葉山の弟も参戦して、葉山を愛でよう集団でも良いんじゃないかと思ったほどですw あと中盤から登場するあの人は…何であんなに強烈な存在感を放ってるんだろうなと思ってしまった。
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